受付やエントランスの壁に、お店や施設のロゴを入れたい。そう考えたとき、意外と迷うのが「どの素材でつくるか」です。
今回は豊川稲荷にある西元美術館さんの2Fギャラリー「座」。そのメインになるサインを、真鍮の切り文字でつくらせていただきました。

なぜ壁のロゴは「安っぽく」見えてしまうのか
壁にロゴを入れたのに、なんだかしっくりこない。よくある原因は2つです。
- 素材が空間の格に合っていない— 落ち着いた空間にツヤツヤした素材を持ってくると、そこだけ浮きます
- 光の当て方を考えていない— 部屋全体を均一に明るくすると、ロゴが「壁の一部」に埋もれます
この2つはセットです。素材だけ良いものを選んでも、光が平坦だと質感が出ません。逆に照明を凝っても、素材が空間と合っていなければちぐはぐになります。
切り文字の素材、どれを選ぶか
壁に付ける切り文字でよく使う素材を、正直なところで並べてみます。
ステンレス
いちばん定番です。サビにくく、ヘアラインや鏡面など仕上げの種類も豊富。オフィスや店舗のエントランスでは第一候補になります。ただ、良くも悪くも「変わらない」素材です。10年経っても、ほぼ最初のままです。
アクリル・樹脂
費用を抑えやすく、色も自由です。ただ屋内でも紫外線や熱で少しずつ劣化しますし、金属ほどの「重み」は出ません。カジュアルな空間には合いますが、静かで格のある空間だと少し軽く見えることがあります。
真鍮
金色の落ち着いた金属で、時間が経つと少しずつ色が沈んでいきます。ピカピカのままではいられません。ここが人によって評価が真っ二つに分かれるところです。
今回あえて真鍮を選んだ理由
ふだん僕は、こういう壁面のロゴサインにはステンレスをおすすめすることが多いです。手堅いですし、きれいな状態が長く続きます。
でも今回は真鍮を選びました。
理由は、ここが美術館の中のギャラリーだからです。
作品を置く場所って、時間が積み重なることに価値がある空間だと思うんです。何年も企画展を重ねて、少しずつその場所らしさが育っていく。そういう場所のサインが、10年後もピカピカの新品のままというのは、なんだか違うなと思いました。
真鍮は経年変化で色が沈み、深みが出てきます。ステンレスなら「劣化」と言われるその変化が、ここでは「味」になる。変わってしまうことが弱点ではなく、長所になる場所だったというのが、今回の判断のすべてです。
ゴールドの色味も、落ち着いた壁の質感とよく合ってくれました。派手に光るのではなく、ほのかに色気が出る感じ^^
光の当て方も一緒に考える
もうひとつ大事だったのが照明です。

このギャラリーは、実は屋内の基礎工事から装飾工事まで弊社で担当させていただきました。だからこそ、サインだけを後から考えるのではなく、照明とセットで計画できました。
使ったのは温白色で、広角を絞ったスポットライトです。部屋全体を明るくするのではなく、見せたいところにだけ光を落としています。
ギャラリーという場所では、魅せるべきものを魅せることがなにより大切だと思っています。全部を明るくしてしまうと、どこを見ればいいのか分からなくなる。暗さを残すからこそ、光が当たっている場所が主役になります。
真鍮の切り文字は厚みがあるので、上から絞った光を当てると文字の下に影が落ちます。この影が立体感を出してくれるので、光の角度は現場でかなり調整しました。
仕上がりと変化

雰囲気のある壁の質感と、絞った照明。そこにゴールドの真鍮文字。このバランスがうまくハマって、ギャラリーの顔になるサインになったと思います。
ちなみにこの工事、佐々木内装の大地くんと夜中の12時過ぎまでガッツリやりました。いい仲間に恵まれてます♫
同じことで悩んでいる方へ
壁にロゴサインを入れるとき、素材選びの目安をまとめておきます。
- きれいな状態を長く保ちたいなら、ステンレス。オフィスや店舗のエントランスでは、やっぱりこれが手堅いです
- 時間が積み重なることに価値がある場所なら、真鍮も候補に。ギャラリー、和の空間、長く続けるお店など。「変わること」を受け入れられるかどうかで決まります
- 素材だけで決めない。光の当て方まで一緒に考えないと、いい素材を使っても質感は出ません
- 暗さを残すのは、こわがらなくていい。全部明るくするより、見せたいところに絞ったほうが伝わることは多いです
「うちの場合はどっちがいいんだろう」というところから、一緒に考えます。空間の雰囲気やこれからの使い方を聞かせていただければ、ご提案しますので^^
看板のプランニング・制作・施工は、愛知県豊川市の看板専門店 株式会社BASE(サインボードベイス) で承っています。「こんな看板をつくりたい」というご相談はお気軽にどうぞ。


